AIにうまく質問するより、「仕事の設計図」を渡す
AIに仕事を頼んだのに、思っていたものと違う。
そんなとき、「もっと上手なプロンプトを書かなければ」と考えることがあります。私もAIを使いながら商品やサービスを作る中で、指示の言い回しを何度も考えてきました。
でも、実務を重ねて分かってきたのは、問題は言葉のうまさだけではないということです。
AIに必要なのは、短くて格好いい命令文ではなく、その仕事の設計図でした。

「LPを作って」だけでは、判断材料が足りない
たとえば、「AIホームページメーカーのLPを作って」と頼めば、AIは何かを作ります。
ただ、それだけではAIに判断できないことがたくさんあります。
- 誰に見せるのか
- 何を伝えたいのか
- どんな行動につなげたいのか
- 誇張してはいけないことは何か
- どの状態になれば完成なのか
これらが分からなければ、AIは空白を一般論や推測で埋めます。見た目は整っていても、目的に合わない成果物になるのは不思議ではありません。

私がAIへ渡す「仕事発注8項目」
そこでIhyFactoryでは、AIに仕事を任せるとき、次の8項目を意識しています。
- 目的 — 何のためにやる仕事なのか
- 完成物 — 最終的に何を受け取りたいのか
- 背景 — なぜ今、その仕事が必要なのか
- 対象者 — 誰が見るのか、誰が使うのか
- 参考情報・一次情報 — 何を読んで判断してほしいのか
- 条件・NG事項 — 守ること、やってはいけないこと
- 判断基準 — 何をもって「良い」とするのか
- 確認ポイント — どこで人間が確認するのか
全部を長文で書く必要はありません。大切なのは、AIが途中で迷ったときに立ち返れる基準を渡すことです。
私はこれを、AIに命令するのではなく、仕事の設計図を渡すと表現しています。

いきなり完成させず、工程を分ける
もう一つ大切なのは、最初から完成まで一気に走らせないことです。
私は基本的に、次の順番で進めます。
- 資料を読む
- 理解した内容、課題、不明点を整理する
- 構成や方針を提案する
- 人間が確認する
- 制作・実装する
- 最後に検証する
AIホームページメーカーのLPを作る場合も、まずSKILL.mdや既存ページを読ませます。そのあと、サービス内容、対象者、最大の価値、構成案、不明点を出してもらい、認識が合ってから実装へ進みます。
この一手間が、完成後の大きな手戻りを減らします。

任せることと、責任を手放すことは違う
AIには、文章、調査、制作、比較、チェックなど、多くの仕事を任せられます。
一方で、料金、契約条件、事実関係、顧客への提示、公開前の確認、ブランド表現は、人間が最終判断した方がよい領域です。
AIが作ったものを、そのまま正解として受け取るのではありません。何をAIに任せ、どこで人が判断するかまで設計しておく。
AIに仕事を任せることと、人間が責任を放棄することは別です。

うまくいった仕事は、パソコンの中に残す
AIとのやり取りで良い結果が出たら、その場限りにしません。
手順、判断基準、失敗しやすい点を、Markdown、README、SKILL.md、テンプレート、チェックリストとして残します。次回は、その記録をAIに読ませるところから始められます。
人間の中に経験が蓄積されるだけでなく、パソコンの中にも仕事の進め方が蓄積されていく。これは、自分と同じように仕事を進められる「分身」を、少しずつ育てる感覚に近いです。

AI工房では、まず分かりやすい仕事から体験する
AI工房では、AIホームページメーカーを「AIに仕事を任せる体験教材」として位置づけています。
入口はホームページ制作です。AIに資料を読ませ、質問に答え、作ってもらい、修正を頼み、最後に自分で確認する。その一連の体験を通して、「これなら別の仕事にも使えるかもしれない」と気づいてもらうことを目指しています。
難しいプロンプトを暗記する必要はありません。
必要なのは、自分の仕事を整理し、目的と完成条件を相手に分かるように伝え、最後に自分で判断することです。
AIに何を質問するか迷ったら、まずは「何のために、何を完成させたい仕事なのか」から書いてみてください。それだけでも、返ってくる内容は変わり始めます。
AI工房の考え方や取り組みは、こちらで紹介しています。
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